青森の白神のふもとにて。
標高1000m級の山しかないのに 山にはまだ、ちぐはぐに冬と春が残っていた。
河原を1時間登ると、そこにはまだ雪があった。 雪解けの小川をトンネル状のでっかい雪の固まりが覆う。 そこから来る風は、歩き疲れて少しあがった息を白くした。
山の麓で、紫陽花のつぼみは固く青く。 町で、リンゴの花は受粉作業を終え、袋がかけられている。
終わりかけた東京の紫陽花を思い出し、 季節より早く移動してしまった事に 軽い罪悪感を覚える。